Nov 06

ボットを恐れるな!コードでAI時代を制する子どもたち

はじめに

「AIが将来すべてのテクノロジー職を奪うのだから、子どもにプログラミングを学ばせる必要はない。」

近年、このような言葉を耳にする機会が増えていませんか?Sora や GitHub Copilot など、強力なAIツールの登場によって、こうした考え方が広まりつつあります。

実際、ChatGPTだけでも週に8億回以上利用されており、人工知能(AI)が私たちの日常生活の中に深く浸透していることは明らかです。日々の業務の自動化から産業構造の変革まで、AIの影響は計り知れません。また、AIが世界で最大9,200万の雇用を置き換える可能性があると専門家が予測していることから、「これからの時代にプログラミングを学ぶ意味はあるのか」と疑問を抱く人が増えているのも無理はありません。

しかし、こうしたテクノロジーの進化を恐れるのではなく、次世代の開発者がそれに適応できるよう準備を整えることこそが重要です。

世界経済フォーラムの「未来の仕事レポート2025」によると、AIは同時に約1億7,000万の新しい職種を生み出すとも予測されています。つまり、今こそ若い世代がコーディングスキルを身につける絶好のタイミングなのです。

急速に変化するこの時代を生き抜くために、早期のテクノロジー教育が子どもの未来を切り拓く鍵となるでしょう。

AIは開発者を置き換えない、サポートする存在になる

AIは開発者を置き換えるために存在しているわけではありません。むしろ、彼らの能力を拡張し、可能性を広げるためのツールです。テクノロジーが進化するにつれ、プログラミング、データ分析、そして倫理的思考を組み合わせた専門的な職種の需要はますます高まっていくでしょう。

特に、Pythonのようなプログラミング言語を学ぶことは、将来のテックキャリアにおいて不可欠になりつつあります。実際、データサイエンス分野の専門家の90%以上がPythonを使用しており、世界経済フォーラムの予測によれば、2027年までにさらに140万件以上のデータ関連職が新たに生まれるとされています。

これからの時代には、AIシステムを「構築し」「訓練し」「責任を持って運用できる」開発者やデータサイエンティストの存在が不可欠です。

一方で、AIはまだ発展途上にあります。ChatGPTのような高度なツールであっても、その情報が常に100%正確とは限りません。多くの人が見落としがちですが、AIが生成する誤った情報が現実社会に影響を及ぼす可能性もあります。

だからこそ、人間による介入はこれからも、そして常に必要なのです。未来の開発者たちは、AIと協力しながら、偏りや誤り、倫理的な課題を見極め、解決していかなければなりません。

そのためには、私たちが今、子どもたちに教えるスキルも変化していく必要があります。テクノロジーが「どのように動くのか」「なぜそのように振る舞うのか」を理解し、そして「その生成物を使うことが本当に倫理的かどうか」を問い直す力を育むことが大切です。

早くからのプログラミング学習が大切な理由 

子どものうちからPythonなどのプログラミングスキルを学ぶことは、将来の仕事に備えるためだけではありません。問題解決力、探求心、そして「なぜ?」と問い続ける姿勢を育てることにもつながります。これらは、テクノロジー分野に進むかどうかにかかわらず、社会全体として子どもたちに育んでいきたい重要な資質です。思考力と創造性を兼ね備えた、バランスの取れた人材を育てることこそが、未来への投資といえるでしょう。

また、AIはもはやテクノロジー業界だけのものではありません。世界経済フォーラムの予測によると、全職種の約54%が生成AIによって「ある程度」変化を受けるとされています。つまり、これからの世代は医療、デザイン、マーケティング、教育など、あらゆる分野でAIツールに触れる機会を持つことになります。 

だからこそ、AIのメリットとリスク、そしてその仕組みを正しく理解する力が求められます。テクノロジーを単に「使いこなす」だけでなく、その背景を理解し、自信を持って、そして責任を持って活用できる若者を育てることが、これからの社会の鍵となるのです。

基礎的なプログラミングスキルの重要性、そしてTCCの取り組み

東京コーディングクラブでは、AIが主導する未来社会の中で、子どもたちが自信を持って活躍できるようなスキルを育成しています。私たちのアプローチは、次の3つの柱に基づいています。

  • 基礎的なプログラミングスキルの習得
    AIツールを「使いこなす」だけでなく、「どのように作られているのか」を理解する力を養います。テクノロジーの仕組みを学ぶことで、子どもたちはより深く、主体的にAIと関わることができます。

  • 創造的・批判的思考の育成
    テクノロジーを疑問視し、倫理的に考え、目的を持って創造できる力を育てます。TCCでは、ゲーム制作やオリジナルプロジェクトなどを通して、楽しみながら学ぶことを大切にしています。学びを「自分ごと」にすることで、創造力と探究心が自然と伸びていきます。

  • デジタルツールへの自信と理解
    基本からしっかりとデジタルリテラシーを身につけ、AIを「恐れる存在」でも「盲目的に頼る存在」でもなく、「頼もしいパートナー」として捉えられるよう指導します。

このような早期のテクノロジー教育は、好奇心・自信・キャリアへの準備を育みます。
AIは人間の「共感力」「創造性」「倫理的判断力」を再現することはできません。だからこそ、こうした人間ならではの強みを理解し、テクノロジーの中で活かせる人材が求められています。

私たちの目標は、AIと競うことではありません。AIを理解し、責任を持って開発・活用できる次世代のクリエイターやテクノロジーの担い手を育てることです。

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